それでは、前回に引き続き、新入社員研修・家具製作編のご紹介を続けていきます。
第2回は、M・Sさんによるレポートです!
今回の制作では、まず本体フレームの組み立てから作業が始まりました。
側板・天板・底板をビス止めしながら箱型の基本構造を形成していきます。
ビスの位置や深さにも注意を払い、木口の割れを防ぎつつ、強度を確保することを意識しています。
また、引き出しを支えるための桟木(スライドレール代わり)も内側に取り付けられており、高さや位置を均等にそろえる精度作業が求められます。
この段階でズレがあると、後の引き出しの可動に支障が出るため、非常に重要な工程です。
さらに本体の上部には補強用の框(かまち)材を横方向に取り付け、全体の構造を安定させています。
これは天板をしっかり支えるだけでなく、家具全体のねじれや歪みを防止するための基本構造として欠かせない要素です。
初めての木工体験でありながらも、こうした構造理解と丁寧な作業の積み重ねによって、完成度の高い作品づくりの土台が築かれていきました。
本体フレームの組立が完了した後、次の工程では引き出しを支える仕組みの設置に進みます。
共通で、最下段は、重さに強く、スムーズな開閉が可能なスライドレールを採用。
レールは正確な水平と平行を保つ必要があり、取り付け時には位置決めが非常に重要です。
上段・中段には木製の桟木を使用。
この伝統的な構造は、シンプルでありながら静かで滑らかな開閉が可能で、木の風合いも楽しめる点が魅力です。
桟木の取り付けには左右の高さをぴったり揃えることが必要で、ズレがあると引き出しが引っかかってしまうため、こちらも繊細な作業でした。
いよいよ最終段階。
本体構造とスライド機構の取り付けが完了した後は、引き出し本体の組立と、前板の塗装・取り付けを行います。
引き出しの箱部分は白いポリ合板材で構成され、軽量かつ内部が見やすい実用的な仕様となっています。
丁寧に面取りされた角と正確な寸法で、スムーズに収まるよう繰り返し微調整が施されました。
そして、今回の作品の大きな見どころとなるのが前板の塗装仕上げです。
引き出し3段の前板には、ナチュラルな木目を活かした明るいブラウン系塗装が施されており、深みのある濃茶色の本体と絶妙なコントラストを演出しています。
3ヶ月にわたる新入社員研修もあと1ヶ月で終盤。
今回は、実際に研修を経験したM・Sさんに、振り返りのインタビューを行いました。
制作を通して何を感じ、どのように成長を実感したのでしょうか?
Q1. 研修を振り返って、一番印象に残っていることは?
中学校の技術の授業で少し木材に触れ、小さな棚を制作した経験はありましたが、高校以降は木材に触れる機会がありませんでした。そのため、今回のスタジオ研修で引き出しを制作することができて非常に貴重な経験となり、1番印象に残っています。木材加工に関してはほぼ初めての経験だったため、最初はビス止めも上手くいかずに苦戦しましたが、先輩社員の方から丁寧にビス止めや釘打ちを教わり、作業を進める中でスキルを向上させることができました。その結果、作業が楽しさを伴い、最終的には自信を持って制作を終えることができました。
Q2. 自分が成長したと感じる点は?
研修を通じて成長を感じた点は、「自分だけが理解していればよい」という考えから、相手にも正確に意図を伝える意識を持つようになったことです。特に、搬入・搬出作業などの場面では、安全を確保するために確認の声掛けや情報共有が欠かせないと思うので、誤解を招かないよう丁寧にコミュニケーションを取ることの重要性を学び、実践することで自分自身の成長を感じました。
Q3. 設計から製作までの流れを体験して、感じたことは?
設計から製作までの一連の流れを経験する中で、設計段階での準備や確認の重要性を改めて実感しました。また、実際に制作を進める中で、設計段階では想定していなかった問題が発生したこともあり、柔軟に対応しながら解決策を見出す力が求められるということも学びました。
Q4. 今後、配属先でチャレンジしたいこと・目標は?
配属先での目標の1つとして、業務に関連する資格を取得することです。施工管理の資格を取得して、施工管理に関するスキルを深め、チーム内での役割を広げていきたいです。また、新しいアイデアを提案したり、効率的な業務の改善に取り組んだりして、チーム全体の生産性向上に貢献できるよう努めていきたいです。
M・Sさんの作品には、細部にまで行き届いた丁寧な作業と、使う人への思いやりが感じられました。
また、初めての木工作業に真摯に向き合いながら、一つ一つの工程を通じて着実に成長していく姿勢も非常に印象的でした。
次回は、また別の新入社員の作品とインタビューをご紹介いたします。
皆さま、どうぞお楽しみにお待ちください!