【新人研修】R・Yさん:テレビ台① (YOK)

それでは家具製作レポートの二人目に参りましょう。



R·Yさんは就職を機に関東へ引っ越してきた上京組です。

とはいえ学生時代から一人暮らしだったそうで、今回この研修では部屋に置く「テレビ台」を製作することになりました。

“ 一人暮らしを始めてからずっとローテーブルの上にテレビを置いていたので、この機会にきちんとしたテレビ台が欲しい ” とのことでした。

一概にテレビ台といえど、実はこれほどバラエティに富んだ家具はないのではないだろうか、と個人的には思っています。

テレビのサイズは様々ですし、昔のようにごついビデオデッキやDVDデッキを持っていない人は多いのではないでしょうか。そのため、テレビの高さを確保する目的であればただの箱でも十分です。

しかし、テレビを見れば必ず視界に入る物なのでデザイン性も求めたいですし、そのスペースも収納として無駄にはできません。


ということで、R·Yさんが考えたのはこちらのテレビ台です。


課題のギミックは【扉】と【可動棚】、そして【アクセントカラー】を取り入れています。

扉は上開きで、取手部分には雑誌などをディスプレイできるようにもなっているようです。扉にはマグネットキャッチも取り付け、簡単にパカパカと開かないようにしています。
また、扉の中の棚はダボ式で位置を変えることができる可動棚になっているようです。

デザインのポイントとしては、すのこをデザインに加える事で、見た目が重すぎないようにしましたとのことです。

木工の家具はどうしても厚みが出てしまい、良くも悪くも重厚感が出てしまいます。また、木の面積が広ければ広いほど、その傾向が強くなってしまうため、それを回避するために扉をすのこ状にして、抜け感を出したようです。


では、改めて図面をピンポイントで見てみましょう。



これらの表記は仕上げに関する注釈です。
ここから読み取れるのは、基本の仕上げは木目活かしのクリア塗装で、扉の手掛かり部分に【アクセントカラー】を取り入れるということです。
カラー部分は前回のT·Kさんと同じく日塗工で色を指定し、それ以外はクリア塗装で仕上げることがわかります。


また、細かい部分は詳細図として拡大し、各パーツの納め方を図示します。


図面は基本的に「縮尺」を使って作成します。地図の端に【縮尺1/25,00025000分の1)】のような表記を見たことがあるでしょうか?仕組みはこれと同じです。

弊社のように内装業では、【S=1/100】【S=1/50】【S=1/20S=1/10】がよく使われています。また、家具や什器の製作図ではより細かい指示を書き込めるように【S=1/5】【S=1/4】【S=1/3】【S=1/2】【S=1/1】と、より実物大に近いサイズで表記することも多いです。


そして、図面を見るのに使う道具がこちら。



三角スケールと言って、各縮尺に合わせた寸法が刻印されているもので、これを使って図面上の寸法を測ります。

とはいえ、最近はタブレット端末の普及により、紙で図面を見ることも少しずつ減っていたりするため、大概は図面に寸法を入れておくのでスケールを使う機会は減っている印象です。

しかし、寸法表記のない部分なんかは印刷した図面にサッと三角スケールを使って寸法をあたる方が早いので、一概にデータか紙焼きのどちらが優れているかというのは比較できません。両方の良い点をそれぞれ生かしていけたら良いですね。

また、この三角スケール、一昔前までは手書きで図面を引くこともあったので30cmくらいの大きいサイズのものが主流でしたが、最近はペンケースに入るような小さいサイズのものが大半になり、カラーバリエーションも豊富になってきました。
入社したら三角スケールは各自一本持っておきたい代物です。


さて、また図面に戻りまして、3Dでのスケッチも作成してもらいました。


着彩の表現もできているので、完成イメージの解像度がグッと上がりました。

3Dをデータから正確作ることにより、幅×高さ×奥行きの比率が直感的に分かるので、形状を理解するのにとても便利です。
このような3Dスケッチも、タブレット同様 上手く活用して、読みやすい図面を作成することも大切だなと思います。
ということで、一通り図面の解説を行いつつ、R・Yさんのオリジナル家具のデザイン・製作イメージをレポートしてみました。


【本人コメント】
今まで使用したことのないvector worksというソフトで図面を作成しました。
学生の頃描いていた図面とは違い、実際に制作する図面を描くという事は経験したことがほとんど無かったので、とても難しかったです。
家具が問題なく使用できるように、材の寸法を何度も変更したり取り付ける金物を探したりと一つ一つの作業が初めてだった為、新鮮な気持ちで研修を行えました。


それでは次回、この図面をもとに木工製作の過程へ移ります!