【新人研修】T・Kさん:キッチン棚③(YOK)

製作レポートT·Kさんのレポート続編です。

ここから仕上げの塗装から完成まで一気に追っていこうと思います。


前回のレポートでは作製した図面を元に、実際に木工製作まで行いました。

そして、ここからは一気に仕上げ作業に移ります。


一度組み上げたパーツを必要に応じてもう一度バラし、塗装を行っていきます。

早速ですが、こちらは一度塗料を吹きかけた状態の引出しの写真です。



これで完成でしょうか…? いえ、実はまだ下塗りの状態なのです。

作成した図面をもう一度見てみましょう。





図面を見ると引出し部分は淡い青緑色で着色されています。

また、この表記に注目です。





これは「色品番」というもので、塗装色を指示する番号です。この「色品番」で色を指示することにより、誰が作業をしても同じ色でモノを仕上げることができます。


もう少し噛み砕くと、例えば自分がデザイナーだとして天板を「赤」に塗って欲しいと製作を工場に依頼したとしても、その「赤」は人によってイメージする色が違います。明るい赤なのか、暗い赤なのか、落ち着いた色味の赤なのか、派手な赤なのか


そこで活用されるのが「色品番」です。デザイナーが「赤」をこの色品番を使ってを指定することで、イメージと一致する「赤」を工場の職人さんが作り出すことができるのです。


この色品番というものは、色見本帳から指示します。

また、色見本には様々な種類があり、有名なところで言うと「PANTONE」「DIC」などがあります。これらは主に印刷物を製作する際に使用されています。



そして今回は「日塗工」と呼ばれる塗装に特化し、建築·内装業界で一般的に使われている色見本から選択しました。





それでは早速塗っていきましょう!と言いたいところなのですが、実は色品番があるからと言って、その番号と同じ塗料があるわけではありません…


指示通りの色を塗るには、何種類かの塗料を混ぜ合わせ、色見本と同じ色になるまで調色を繰り返して色を作っているのです。

そうして見本通りの色を作って、そしてようやく塗装ができるのです。





T·Kさんもそんな調色作業を経て、ようやく引出しパーツに塗装ができました。

図面の指示通りの色に仕上がったようです!


この後、写真には写っていませんが他のパーツには染色で色を付け、最後に汚れ防止のクリア塗装をかけ乾燥させます。


【本人コメント】

塗装研修でも職人の方に付いていただきながらも、木工のときよりも自分の手で作業させていただいたので完成した際の達成感や家具への愛着がとても大きかったです。

塗料を吹くときのガンの向きや絞り方、染色の際の塗料の分量など自分で工夫しながら作業しなければならないことが多く、とても大変でした。



塗料が乾いたら、一旦外したパーツを再度取り付け、ようやく完成です!




使い勝手が分かりやすいように、実際に調味料などを入れてもらいました。

家具単体でみると小さいようにも感じましたが、実際には大容量のキッチン収納になったのではないでしょうか?


木材本来の質感を残した本体部分と、引出しのカラーが良いコントラストで、シンプルながら優しい印象を受けました。

取手とキャスターを黒にしたところもアクセントになっていて良いなと思います。



【本人コメント】

家具研修を終えて、カンナ、木工、塗装の実際の業務を一部経験することができたと同時に、それぞれの大変さややりがいも感じることができました。

また今回の研修を通して、多くの苦労や工程を経て一つの家具が制作されていることや自分の手で制作することの大切さを学ぶことができました。



初めてのことだらけで戸惑ったこともあるかもしれませんが、無事に研修を終えることができて研修する側としても良かったなと思います。

現場が多い部署に配属となって大変なこともあるかと思いますが、引き続きたくさんのことを経験しながら仕事を楽しんでほしいなと思います!