創立記念品 製作記録②(YOK)

 創立記念品 製作記録②ということで、今回は積木ゲームのピースを収納するケースの製作に注目していきます。


ケースは収納・保管の役割を持ちつつ、ピースを並べる時のガイドになったり、そのまま飾っていても見栄えがするデザインであることを念頭に提案していきました。

また、SDGsやウェルビーイングの観点から、再生可能な素材を使って製作することを条件としました。


そこで生まれたのが、3面タイプのカバーです。

提案時に出てきた簡単なイラストです

底板と側板2枚を角ができるよう組み合わせた形状で、内側の隅に沿ってピースを並べます。

4面を囲わないことで、使っていない時も積み重ねたピースの木目を楽しめる仕様としました。

そして、今回は釘などの金属を使わず、組木の仕組みを使って製作することになりました。



また、使用する素材は、9mm厚のバーチ積層ベニヤとしました。

積層ベニヤは、断面がそのままでも見た目にデザイン性があり、木を組んだときのアクセントになると思い、この素材を選定しました。


そして今回は、大量に製作するということで、基本の切り出しは機械の力を借りることに…!


その機械とは、このNCルーターです。

【ルーター】は、先端に付いた刃を高速回転させて、木材の角を丸く加工したり、溝を掘ったりする電動工具です。

通常のルーターは手に持って使用するものですが、この【NCルーター】加工する形、削る深さ、刃のサイズ、削るスピードなどをデータとして機械に入力して、木の加工を全自動で行う数値制御(NC:Numercial Control)ができる機械です。

こちらは同じ社屋で製作されているスピーカー屋さんの機材をお借りしました。

何度か使わせていただいていますが、トライ&エラー…やはりスムーズにはいきません…

NCルーターはレーザーカッターと違い、直に回転する刃を木材に当てて削り出す形となるため、“完全に”くり抜くことができません。

完全にくり抜いてしまうとどうなるのか?

答えはくり抜かれてしまったパーツは板から外れ跳ね上がり、回転する刃に巻き込まれ、切らなくてもいいところが削れ、さらには板がブレるので切り出し始めていた隣のパーツにまで被害が及ぶという状況になってしまうのです。

こちらが失敗した状態です。

そのため、0.7mm程度厚みを残して削り出し、全てがギリギリ繋がった状態でパーツを削り出し、最後は手作業でそれぞれを取り外していきます。


順調にいくとこのように大量のパーツが綺麗に現れます。

これは倍速でルーターがパーツを切り出しているところです。


次はこうして切り出したパーツを組んでいく作業に入るかと思いきや、また一手間加わります。

機械で切り出したものをそのまま組むことができれば良いのですが、NCルーターは刃を回転させて削り出す仕組みのため、木の同士を組みわせる部分の入隅(コの字でいう内側)がどうしても丸くなった状態で仕上がります。

角が丸いままではパーツ同士を噛み合わせることができないため、丸くなっている角は手作業で四角く整える作業が必要となるのです。


そして、その作業を終えてようやく組み合わせる作業に入ります。

今回は、強度を保つためのり(木工用ボンド)を併用して組んでいきます。


上の写真は、パーツを組んで、のりを固めている状態なのですが、虫のような、ロボットのような、少し異様な光景です…。

こうして半日くらい乾かすとケースの出来上がり。



この状態に次はシルク印刷でパッケージのグラフィックを入れていきます。


それでは次回、シルク印刷・ピースの印字加工に続きます。