創立記念品 製作記録①(YOK)

それでは、今回は弊社デザインアートセンター創立60周年、自社工場であるデザイン・アート・スタジオ創立55周年の、創立記念品製作の過程を追っていきたいと思います。


まず始めに、60周年及び55周年という節目を迎えるにあたり、記念品として何か自社で製作できないか?というところから記念品製作プロジェクトが始まりました。

社内コンペや、製作工程の会議などを経て、記念品として製作することになったのは「木製積木ゲーム」。平たく言うと、某パーティーゲームである○ェンガです(笑)


創立記念品を製作するにあたって、近年の社会情勢を踏まえSDGsやウェルビーイングの理念に沿って品物を提案・製作をすることを起点としました。

また、弊社の強みといえば、木工の製作場が敷地内にあり、造作や什器のほとんどがそこで製作されていることです。

そこで目をつけたのが、木工製作所で出た端材や切り落としの材料。
製作所では、ものができるのと同時に、日々 たくさんの端材や切り落としの材料が発生しています。

それらの材料をゴミとして廃棄するのではなく、無駄なく使い切る方法を考えていく中で、積木ゲーム製作の提案がありました。

端材を同じ形に整え、また有機溶剤を使用しない天然素材で仕上げることで、人にも環境にも優しいモノづくりが出来るのではないかと考えたのです。

積木ゲームは1セット36ピースで構成し、6種の木を使ってそれぞれの木目や色味、重さの違いを実感できるようなものになるよう組み合わせを考えます。

早速、製作所にあった9種の木材の中から、積木に適したものを選定することにしました。


まずは、木そのままの色味や木目を生かし、蜜蝋を仕上げのワックスとして使用した【クリアーVer.】の木を選定しました。
並べたときの見た目や、手に持った感覚の違いが分かりやすいものを選んだ結果、「メイプル」「ナラ」「ニヤトー」「ヒノキ」「イペ」「バーチ(積層)」の6種を使用することにしました。

次に、染色を施して木目を生かしつつカラフルな仕上がりになるような【染色Ver.】を製作することにしました。

↑の写真は、染色の色味を検討している写真です。
有機溶剤を使わないで製作するということで、今回「柿渋」をいう染料を使用して木に色をつけていきました。
「柿渋」とは、渋柿の未熟果を搾汁し発酵熟成させたもので、100%天然素材の染料として昔から使われていたようです。

木によって染まる具合や、色の出方が違いのが面白いです。


↑これが試作として組んでみた初期サンプルを並べてみた写真です。
左が【クリアーVer.】、右が【染色Ver.】になります。
【染色Ver.】がやや重い印象になったため、ここから色味を再度 調整します。
検討の結果、染色は「藍色」「緑」「弁柄色」「黒」「黄色」の5色に「木目色(クリア)」を足した6色を、「ヒノキ」「タモ」「ナラ」「メープル」「ニヤトー」「バーチ(積層)」の6種の木に施すことに決定しました。

木種、染色の色が決まり、今度はこれを量産していきます。
製作個数は全部で270セット!予備分を含めピースにして約9800個に及びます…。
この莫大な量をまずは端材から切り出し、角をとる「面取り」という作業を一つ一つ手作業で行います。
そして面取りを終えたピースは蜜蝋仕上げ、及び染色を施して蜜蝋で仕上げていきました。
蜜蝋仕上げは、蜜蝋を塗る→乾拭き→乾いてから木を当てて磨くというかなり手の込んだ工程を経て仕上げていきます。
面取りから塗装の仕上げまで、職人さんはもちろん、新入社員や手の空いている営業・デザイン部の社員も総動員で製作しました。

そして、少しずづピースが完成し、次の工程へ移ります。
次はピースを収納するケースの製作に続きます。